栃木この人

文星芸術大地域連携センター長・長島重夫さん(75) 次代担う人材育成に尽力

 芸術文化を切り口に地域や企業などと連携事業に取り組む「地域連携センター」を学内に設置して昨年で10年。「芸術大学の持つ潜在能力はまさに地域資源。学生たちの優れた能力を学外に発信することは、地域貢献につながる」と、県内の産学官関係者と協力し走り続けてきた。

 これまでに実施した事業は、絵画や漫画などのアート作品による地域活性化支援、キャラクターなどデザイン開発による企業のPR支援など、昨年度末で413件。初年度は6件だったが、着実な活動がすっかり定着し、ここ5年は年間50件にも上る事業が展開されている。

 活動の幅は、県内全域におよぶ。日光二荒山神社などの天井画制作や獨協医科大、栃木医療センターでのホスピタルアート、県内6市3町との包括連携協定による自治体のPR用冊子、チラシやポスター制作など。多岐に渡る内容で、地域貢献、学生の技術向上、学生のキャリア形成を目的に活動している。

 「地方創生を図るための人材育成は『地(知)の拠点』としての大学の使命」と、さまざまなアイデアで教育・研究活動を行っているが、その企画力と人脈は県職員時代に培われたと自己分析する。

 大学卒業後、平成16年に退職するまで県職員として人事、文化関係の仕事をこなしてきた。とちぎテレビ開局や日光の世界遺産登録、日光杉並木の保護などの大きなプロジェクトに携わり成功に導いた。周囲から「10割バッター」の異名で呼ばれることも。しかし、「どんな事業も人と人との信頼関係から。心を込めて思いを伝えてきた」と本人に気負いはない。

 自身の経験から「組織を生かすのは人」と言い切る。精力的な活動は、次世代を担う若者の人材育成に強い思いを抱いているからだ。他大学と連携しての取り組みにも力を入れる。29年には、宇都宮市や市内の4私大など産学官で魅力あるまちづくりを目指す「宇都宮市創造都市研究センター」が発足し、事務局として運営にあたっている。

 「なにより学生たちを社会から求められる人に育てていくことが目標。見届けていきたい」(松沢真美)

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【プロフィル】長島重夫

 ながしま・しげお 昭和19年、氏家町(現さくら市)生まれ。中央大学法学部を卒業後、県職員として平成16年まで勤務。文化課、文化財課、文化振興課長、広報課長、総務部次長兼人事課長、人事委員会事務局長を歴任した。退職後は県産業振興センター理事長を経て、20年に文星芸術大地域連携センター長に就任。宇都宮市在住。75歳。

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