「デトックス」は幻想だった? 5つの手法を科学的に分析した結果

CARLP778/GETTY IMAGES
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 体内の毒素を排出することを謳い、さまざまな「デトックス」プログラムの宣伝で世の中は溢れている。これらは果たして本当に効果があるだろうか? 医療関係者によると、効果があるどころか健康を害するリスクが高いものが少なくないという。ファスティング(断食)からデトックスウォーター、イオンフットバスなど、5つの手法の「本当の効果」について、『WIRED』UK版が検証した。

TEXT BY DAPHNE LEPRINCE-RINGUET

TRANSLATION BY TOMOKO MUKAI/GALILEO

WIRED(UK)

デトックスに関心がある人は多いだろう。特に長期休暇の時期であれば、ぜいたくな食事をとった内臓の社会復帰には時間がかかる。だからこそ、メールの受信箱やInstagramのフィードに届くデトックスプランの広告は興味をそそるもので、なかなか無視できないかもしれない。

ファスティング(断食)から食事に加えるサプリメントまで、こうしたデトックスは体から毒素を取り除くと謳っている。むさぼるように摂取したアルコールや高カロリーの食物には、おそらくたくさん含まれていたことだろう。

それでも、デトックスプランの誘惑を無視すべき理由がある。幸いなことに、人間の体には毒素を除去するシステムが組み込まれている。肝臓と腎臓は、血液から毒素を自然にろ過して排出してくれるのだ。

「デトックスは幻想なのです」と、イェール大学医学部の臨床神経科医スティーヴン・ノベラは指摘する。「人間の肝臓と腎臓は、健康であれば問題なく毒素を排出します。そのための臓器なのですから」

ノベラによると、体に備わったデトックス機能以外には、正当と認められるデトックスは存在しないという。オンライン上のデトックス商法は「エセ科学」であり「まやかし」だというのだ。

ここからは読者のために、市場に出回っている最も一般的な5つのデトックスをまとめたうえで、これらが実際に体に及ぼす作用を裏づける「科学」について説明していきたい。もし、そうした「科学」が存在するのであればだが--。

(1)ファスティング(断食)

医学的な指導の下で安全に断食に取り組むなら、必要とされる減量や血糖コントロールの改善といった多くのメリットがある。しかし、体からの排毒に役立つという科学的根拠はほとんどない。

一方で、カロリー摂取を大幅に制限する一部の食事療法が危険をもたらす可能性のあることは、根拠をもって明らかに言えることだ。例えば、映画『ドリームガールズ』の役づくりに向け、主演のビヨンセが減量するために採用して有名になった「マスタークレンズダイエット」。これは約10日間にわたって液体のみを摂取する方法だ。

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