新型出生前診断 日産婦が拡大見送り 国が検討会設置へ

 妊婦の血液でダウン症など胎児の染色体異常を調べる「新型出生前診断」について、日本産科婦人科学会(日産婦)は22日、検査の実施施設の拡大を認める新指針の運用を見送ると発表した。複数の他学会から新指針への批判が寄せられたことを受け、厚生労働省から検査のあり方を議論する検討会を設置する方針が示されたことが理由だ。運用の開始時期は、国の議論を見極めて判断するとしている。

 現行指針では検査を実施する施設に対し、産婦人科医と小児科医が常勤し、どちらかは遺伝の専門家で十分なカウンセリングが行える-などの要件を規定。認可施設は現在、大規模な病院を中心に92施設ある。

 一方、指針に強制力はなく、ルールに従わずに検査を提供する無認可施設が急増。日産婦は今年3月、研修を受けた産婦人科医がいる施設であれば、開業医や小規模施設でも検査をできるなどとした新たな指針案を公表した。

 これに対し、日本小児科学会や日本人類遺伝学会が反発。検査は結果次第で妊娠中絶につながるケースもあることから、「命の選別」を招きかねないとして安易な拡大に慎重な意見も出ていた。

 厚労省は今月21日、日産婦に対し、妊婦らに不安が広がりかねないとして、検討会の議論を踏まえた対応を要請。日産婦は日本小児科学会の要望などを踏まえ、一部修正した新指針を22日の理事会で了承したものの、運用については見送ることを決めた。

 同日、記者会見した日産婦の藤井知行前理事長は「指針は学会で決めたが、運用については検討会の動きを注視していくことにした」と説明。無認可施設で検査を受けた妊婦らが不安を抱えるケースもあるなどとして、検討会での早急な対応も求めた。

 妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる検査について、国が検討会を設置するのは「母体血清マーカー検査」をめぐって専門委員会が設置されて以来、約20年ぶりとみられる。検討会では、検査の実施施設に求める要件などが議論される見通しだ。

 ■新型出生前診断 妊婦の血液に含まれる胎児のDNAからダウン症、13トリソミー、18トリソミーの3つの疾患の可能性を調べる。原則35歳以上の妊婦が受けられる。従来の出生前診断である「羊水検査」は腹部に針を刺すため流産の危険を伴ったが、新型は採血で行えることから容易で安全とされる。陰性なら99%の確率で病気はないとされる。陽性の場合、確定には羊水検査などを受ける。