関西のサブカルチャー街、大阪・日本橋(にっぽんばし)を象徴する存在がメイド喫茶に定まってきた平成20(2008)年8月、「メイドビアホール」と題したイベントが大阪農林会館(大阪市中央区南船場)の「クリスタルパレスホール」で、2週間だけの期間限定で開催された。
日を重ねるごとに客席増設
「ご主人さま、ビールでございます」
ジョッキを運んでくれるのは、日本橋のメイド系店舗約15店に勤める現役メイド店員たち。彼女たちは客のリクエストに応じて、会場内に設けられたステージでアニメソングを歌うなどしてイベントを盛り上げた。
関西発のサブカルチャー情報を発信する「OTAKUフジ」の紙面を展開していた夕刊フジも協力という立場で参加して取材に当たったが、日を重ねるごとに驚くような展開になった。
ビジネス街のド真ん中で開催されたこともあり、会場にはサラリーマンやOLらが殺到。入場待ちの行列ができ、主催者側があわてて会場内に客席を増設していった。こうした光景を目の当たりにし、日本橋の最有力コンテンツはメイド喫茶との確信を得た。
このメイドビアホールの反響を受けて、「メイド店員らを選抜して、日本橋の顔になってもらおう」という構想が浮かび上がり、メイド喫茶の経営者らに働きかけたが、あっさりと却下される。経営者側は「店の名前は売りたいけど、女の子を売るのは困る」と理由を挙げた。
日本橋の顔になって来店客が増えるのはありがたいが、もしメイド店員が移籍などをしたら一気に客が目減りする懸念もある。また、特定のメイドが注目されることで、他のメイドからねたみの声があがり、店内の雰囲気が悪くなって経営にも影響が出かねないとも指摘された。
「メイドル」構想は暗礁に…
さらに、メイド喫茶で働く店員たちの意識も課題だった。