【ロンドン=板東和正】英与党、保守党の党首選は20日、欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」も辞さない強硬離脱派のジョンソン前外相と、EUと関係を保った離脱を重視する穏健離脱派のハント外相が、7月の決選投票に進出することが決まった。2人はどんな人物なのか。
■ジョンソン前外相(55)
「庶民派」「失言王」。保守党党首選でリードする次期首相に最も近い男は欧州連合(EU)強硬離脱派以外にもさまざまな顔を持つ。
オックスフォード大卒業後、政界に入るまではジャーナリストとして活躍した。政治家としての存在感を見せたのが、最大野党、労働党の地盤とされるロンドンで選挙を勝ち抜き、2008年から2期連続で市長を務めたときだ。「票を集められる政治家」と政界で一目置かれた。人気の秘訣(ひけつ)は、欧州議会議員の父を持つ良家の出身者であるにもかかわらず、気取らない庶民的な振る舞いにある。ボサボサの金髪でリュックサックを背負って自転車で通勤する姿は低所得者層を中心に好感度が高いという。
過激な発言から「英国のトランプ」や「失言王」の異名も持つ。EU離脱の是非を問う16年6月の国民投票に向け、英国民に「残留」を勧めたオバマ米大統領(当時)に対し、「ケニア人の血が入っており、反英感情がある」などとコラムで指摘。人種差別と取られかねない発言に批判が高まった。党首選では、失言を避けるためメディアの露出を抑えているという指摘もある。