朝晴れエッセー

霊園でショパン、バッハそしてモーツァルト・6月19日

わが家から車で20分程度の所にある広大な聖地霊園の一角に「安らぎの霊域」がある。妻が逝って1年半、妻はこの霊域で永遠の眠りについている。

音大出身の妻は生前クラシックを愛し、わが家にはステレオから流れるバイオリンやピアノの調べ、そして彼女の弾くピアノの音色が絶えなかった。演歌にどっぷりとつかっていた私もいつしか洗脳され妻とともにクラシックを楽しむようになった。

妻がとても気に入っていたのは特にショパンの幻想即興曲、夜想曲、別れの曲、そしてバッハの無伴奏バイオリン・パルティータやモーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークなどであった。

私もいつしかこれらの曲が好きになり、特に有名なフレーズのメロディーには心震わせられるようになった。

いまだ妻の死を受け入れられないでいる私はしばしば霊園に行きCDでこれらの曲を妻とともに聴いている。妻にささげているという気持ちもある。

何かにつけて不器用な私はどうも生き方そのものも不器用なようで生前亡き妻から諭されることもあった。

「安らぎの霊域」はとても静かで人影はほとんどなく思いっきり亡き妻と2人の時間を持つことができ、これらのメロディーを聴いていると自然に涙が出、ともに暮らした日々を思い出し心は平静になる。

不器用な私に頑張って生きて!と今も諭されている。

橋本 一 73 埼玉県所沢市