JFEスチール、池上町民家に退去要請書 町内会、行政に協力求める 神奈川

 川崎市内に生産拠点を置く鉄鋼メーカーのJFEスチール(東京)が、自社敷地を不法占拠されていると指摘する池上町地区(川崎区)で、2月中旬から下旬にかけて地区内の複数の民家に対し、家屋の解体や立ち退きを求める通知書を送付していたことが17日、分かった。一方、送付を受けた家屋の住人を含む同町内会は、同社や行政に対して、居住権などの問題についての話し合いを求める文書の提出を検討している。

 同町内会の関係者によると、通知書は2月中旬から下旬に送付され、町内の少なくとも3軒の民家の住人が受け取った。3軒のうち1軒は50年以上前に建築、ほかの2軒はいずれも2年以内に新築されたもので、3軒とも居住者がいた。

 通知書は、同社の委任を受けた弁護士の名義によるもので、配達証明郵便で送付。「占有使用する土地はJFEスチールが地権者」であり、「直ちに建物を収去し、明け渡す」ことを求め、従わない場合は「しかるべき法的手続きをとる」と通知している。

 同社は産経新聞の取材に対し、送付の経緯について「(空き家を撤去する目的で)家屋に送ったが、居住の有無の把握は難しく、居住者がいる家屋に送付してしまうこともある」と説明。「居住者からの申し出があれば、(送付の意図について)逐一説明に伺っている」と回答した。

 一方、同町内会の役員の一人は通知書送付を受け、居住権問題などに関する対話に消極的だったこれまでの姿勢を転換する方針であることを明かした。具体的には、同社側や同市の福田紀彦市長ら複数の関係機関に対し、解決に向けた話し合いの場を設けるための要請書の提出を検討。要請書では「行政が当事者性を持ってしっかり関わることを求める」などの文言を盛り込むことも検討しているという。

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