話の肖像画

作家・江上剛(65)(1)「呪縛」の言葉に記者が動いた

記者会見の原稿は当初、「総務部などの担当者に問題があった」という内容で進めていました。でも、副頭取から「これは僕たちが悪い。総会屋との関係は昨日今日始まったことではない。みんな怖かったんだ。原稿を書き直してくれ」と言われました。書き直しのときにひねり出したのが「呪縛」という言葉です。いっしょに考えていた役員が「これは呪縛だな」と言ったので、「あ、その言葉いただきましょう」と。呪われて身動きが取れない。呪縛という言葉には、責任があるようなないような感じがするじゃない? 会見で呪縛の言葉が出た瞬間、記者たちが一斉にペンを走らせました。(聞き手 平沢裕子)

【プロフィル】江上剛

えがみ・ごう 昭和29年、兵庫県生まれ。52年、早稲田大学政治経済学部卒。第一勧業(現みずほ)銀行に入行。本部企画・人事部や都内の支店長を経て、平成15年に退行。22年に経営破綻した日本振興銀行の社長も務めた。銀行員だった14年に『非情銀行』で作家デビュー。近著に『住友を破壊した男 伊庭貞剛伝』。本名・小畠晴喜(こはた・はるき)。

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