かながわ美の手帖

岡田美術館「これぞ黄金の国・日本 金屏風展 -狩野派・長谷川派・琳派など-」

 「収蔵品を生かす企画として、主要な柱の一つである金屏風を、いつか一堂に展示したい」という念願が実現された形だ。その会期が令和への改元とも重なった。意識しなかったという小林だが、「金屏風という晴れの場を作る調度品が並ぶことにより、結果として天皇陛下のご即位を祝う形となったのは担当者としてうれしい」と喜ぶ。

 ◆画中画の図柄

 見どころの一つが〈第2章=江戸時代前期〉の「平家物語図屏風」と「洛外名所遊楽図屏風」。どちらも右隻の部分拡大図とともに隣り合わせての展示だ。

 「平家物語図屏風」を子細に見ると、琴を弾く女性の背後に京都・東山にあった大仏殿を描いた名所絵の金屏風が画中画(絵の中の絵)として描かれている。その図柄が「洛外名所遊楽図屏風」の図柄とほぼ一致している。

 つまり、江戸前期の「平家物語図屏風」が画中画に、本来の『平家物語』の時代ではなく、同時代(江戸前期)の名所の描かれた「洛外名所遊楽図屏風」と同じ図柄を描き込んでいたことが、今回の展示準備中に分かったという。興味深い発見だ。

 続く3つの章は、俵屋宗達の作風をよく伝える「扇面散図屏風」から神坂雪佳の「燕子花(かきつばた)図屏風」までの琳派作品を集めた〈江戸時代前期~近代〉、色味の異なる金砂子(きんすなご)を霞のように画面全体に配した森徹山の「春秋図屏風」など優美でしゃれた作品が並ぶ〈江戸時代中期~後期〉、総金地の屏風をそろえた〈明治~昭和初期〉。絢爛(けんらん)豪華を文字通り絵に描いた空間が連なる。