3人目の指揮官を迎えた神戸 救ったのはイニエスタ

 今季3人目の指揮官を迎えるなどカオスに支配されているJ1・神戸を救ったのはやはり、天才司令塔だった。イニエスタは後半4分、西の右クロスをペナルティーエリア内左で拾うと、相手GKの重心をみて近いサイドへシュート。「チームは勝利を必要としていた」と鮮やかな弾道でネットを揺らし、フィンク新監督に初陣白星をもたらした。

 勝つことへの渇望がひしひしと伝わってきた。就労ビザが間に合いベンチ入りした新指揮官は90分間、仁王立ちして指示を続けた。

 中盤の底でパスを配球したイニエスタを中心に、両サイドバックを高い位置に上げた攻撃的な姿勢を見せ、数的不利になった守備の場面でも選手は体を張った。「まだ時間は短いけど、フィンク監督の指示をピッチで表現できた」とビジャは納得の表情を浮かべた。

 開幕から4カ月。リージョ、吉田と2人の指揮官を更迭し、ツイッターで試合欠場を事前公表したポドルスキが主将を辞任するなど開幕前の期待は吹き飛び、ネガティブな空気に包まれていた。

 イニエスタが敵ゴール前に入らないと攻撃の迫力を欠き、後半は足が止まった相手を仕留めきれなかった。守備も決定機を逃し続ける相手に助けられた面は否めない。課題は山積だが「大事な一歩は踏めた」とフィンク監督。首位チームから手にした1勝を逆襲への橋頭堡(きょうとうほ)にしなくてはいけない。(五十嵐一)

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