「タンカー攻撃はテロ組織が関与」 イラン革命防衛隊元司令官が指摘

 対テロ作戦などを担当する精鋭部隊、イラン革命防衛隊のキャナニモガッダム・ホセイン元司令官(60)は13日、首都テヘランで産経新聞の取材に応じ、日本のタンカーが攻撃された事件について、「安倍晋三首相の訪問を反イラン宣伝に利用する狙いで行われたもので、テロ組織が関与した」との見方を示した。

 ホセイン氏は、米・イランの軍事的緊張を高める目的で、分離主義を掲げるイラン南東部の反政府組織「ジェイシ・アドリ」などが行った可能性を指摘。同組織は「特定の国の支援を受けていることが分かっており、軍事技術も高い」と話した。

 ほかに、イランと敵対関係にあるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織アルカーイダ系などが関与した可能性もあるとした。

 イラン側の関与については、政府の救難当局がタンカーの乗組員44人を救助したとの報道があることをふまえ、「衆人環視の状況であり不可能だ」と否定。一方で、「現場海域はイランの軍艦が常時監視している。犯行集団を特定することもできるのではないか」とし、イラン政府が調査に乗り出す可能性を示した。

 ホセイン氏によると、現場海域はテロ組織のほか、船に積み込まれた金や原油を奪う海賊集団も暗躍しているという。ホセイン氏はイラン・イラク戦争(1980~88年)に参戦したあと、陸軍司令官として対イラク工作を担当した。

(テヘラン 佐藤貴生)

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