宮城県石巻市や塩釜市など県内沿岸部を中心にロケが行われた映画「凪待ち」(白石和彌監督、28日全国公開)の完成報告試写会が13日、ロケのスタート地でもある塩釜水産物仲卸市場(塩釜市)で開かれた。試写会には、主演したタレントの香取慎吾さん(42)がサプライズで登場。香取さんは「みなさんの支えがあって、役として生きられた。感謝したい」と笑みを浮かべた。
「凪待ち」は毎日をギャンブルに費やして無為に過ごす主人公・郁男(香取)が、恋人とその娘の故郷、石巻市で再出発しようとする物語。白石監督は「市場で試写会というのもなかなかないので、ここでやれてうれしい」と喜びを語り、香取さんは「自分のファン層が増えてびっくり。何を言ってもおばあちゃんたちがこんなに爆笑してくれて…」と話し、集まった市場関係者約70人を沸かせた。
また、香取さんはロケの思い出として「袋いっぱいのジュースを持ってきてくれた人がいた」と人の温かさを挙げた。映画の見どころについては「ろくでなしといわれている役だが、人は生きるとき、光を求めている。光が見えない時間でも生きなきゃいけない。そんな何かを感じていただけたら」と語った。
試写会終了後に報道陣の取材に応じた白石監督は、「震災復興半ばで話題に上らなくなっているので(被災地で)撮れたらという思いがあった。胸に迫る映画だと思うので、心に傷を負った人に凪が訪れるといい」と話した。