シャープは11日、みずほ銀行と三菱UFJ銀行が保有している全ての優先株を自己資金で買い戻すと発表した。経営危機にあった平成27年6月に債務を振り替える形で発行した計2千億円分のうち、現在残っている約1千億円分を21日に買い戻す。普通株よりも配当が高く、財務への負担が大きかった「負の遺産」が処理されることで、鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下での経営再建が事実上完了する。
シャープの戴正呉会長兼社長は同日、東京都内で事業方針説明会を開き、「優先株はシャープの経営にとって大きな問題だった。今後は自立し、投資資金も自社で出していきたい」と述べた。
優先株をめぐっては7月以降、銀行側が普通株への転換を請求できる権利が発生する予定となっていた。シャープは1月にも計約850億円分の優先株を自己資金で買い戻しており、今回新たに970億円分を買い戻すことで2行が持つ優先株は全て消却される。
一方、シャープは同日、7月1日付で現在4つの事業グループを3つに再編すると発表した。プラットフォーム関連の事業や法人向け事業を強化し、テレビやスマートフォンなどものづくり中心のビジネスモデルからの転換を進める。
3つの事業グループは「スマートビジネス」「8Kエコシステム」「ICT(情報通信技術)」で、各グループの責任者に戴氏ら3人の共同CEO(最高経営責任者)が就く。また、部品など非完成品を除く商品事業で、法人向けの売上高の割合を現在の35%から50%まで高める。