リニア新幹線工事めぐり 愛知県知事と川勝静岡知事が舌戦

リニア中央新幹線をめぐる愛知県知事の発言に反論した川勝平太知事=11日、静岡県庁(田中万紀撮影)
リニア中央新幹線をめぐる愛知県知事の発言に反論した川勝平太知事=11日、静岡県庁(田中万紀撮影)

 リニア中央新幹線工事をめぐり、愛知県の大村秀章知事が静岡工区着工に向けて国の調整を望む考えを示したことを受け、静岡県の川勝平太知事は11日の定例会見で「(リニア新幹線は)国の事業ではない。JR東海の事業計画で国が認可しているということだ」と述べ、当事者はあくまでも本県とJR東海だと強調した。

 大村知事は10日の定例会見で、JR東海が令和9年を目指す開業時期が遅れることは「到底受け入れられない」と訴え、「新幹線整備は国の事業。進めていく責任がある」と国が調整に乗り出すことを望んでいた。

 この発言を受けて川勝知事は「リニアで一番利益を得るのは愛知県であり、愛知県知事が愛知県の立場から発言するのはもっともなこと」と理解を示しながらも、「私の立場としては南アルプスを大事にしたい」と立場の違いを主張した。

 リニア中央新幹線は、静岡工区の着工遅れによる開業延期の可能性が指摘されている。大村知事は5日に静岡市清水区で開かれた中部圏知事会議の席で、川勝知事に「(JR東海に)意見を言ってもできることとできないことがある。JRとよく話し合ってほしい」と伝えたという。

 こういった大村知事の言動に対し川勝知事は「(JR側に静岡県の)意見を言わないと事実は分からない。私は、南アルプスが傷められて流量や水質や生活に影響があればどうなるかという観点から申し上げている」と本県の姿勢に理解を求めていた。

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