政府の経済財政諮問会議は11日、経済財政運営の指針「骨太方針」の素案を提示した。30代半ばから40代半ばの就職氷河期世代を集中的に支援し、今後3年間で正規雇用者を30万人増やす数値目標を掲げた。社会保障関連では、働いて一定額の収入がある60歳以上の年金を減額する在職老齢年金制度について将来的な廃止も含めてあり方を検討する。また、景気の下振れリスクが強まった場合には、機動的に追加経済対策を講じる可能性も示唆した。
安倍晋三首相は「氷河期世代への対応は、わが国の将来に関わる重要な課題」とした上で、今回の支援策について「策定するだけでなく、実行こそが大事だ」と述べた。政府は与党との調整をへて21日をめどに骨太方針を閣議決定する。
氷河期世代はバブル崩壊後の就職難だった平成5~16年ごろに学校を卒業した世代。正規雇用を希望しながら不本意に非正規雇用で働く人たちなど100万人程度を支援対象とする。ハローワークに専門窓口を設けてチーム制で支援したり、ノウハウを持つ民間企業に成果連動型で業務委託したりといった取り組みで、今後3年間で正規雇用者を30万人増やす。
最低賃金の引き上げは「景気や物価動向を見つつ、より早期に全国加重平均が1千円になることを目指す」と言及した。現在は全国加重平均で時給874円。引き上げペースをめぐって政府内に温度差があり、具体的な目標設定は見送った。
社会保障関連では、年金や介護については必要な法改正も視野に今年末までに結論を得るとした。在職老齢年金は「将来的な制度の廃止も展望しつつ、あり方を検討し、法案提出も含めた必要な措置を講ずる」と言及。同制度が高齢者の就労意欲をそいでいるとの指摘があることを踏まえた。
経済政策では、米中貿易摩擦などを念頭に「リスクが顕在化する場合には、機動的なマクロ経済政策を躊躇(ちゅうちょ)なく実行する」とし、追加経済対策に含みを持たせた。消費税率の10%への引き上げに向け、増税前後の駆け込み需要や反動減をならす方針も盛り込んだ。