朝晴れエッセー

表彰状・6月9日

私の母は離婚してから1人で私と弟を育ててくれた。手に職を持たなかった母はパートをかけもちして休みなく働いていた。

その当時、母からは「女も1人で食べていけるように一生働ける仕事に就かないといけないよ」と口ぐせのように教えられていた。

その後、私自身も夫と別れてシングルマザーとなり、母に子育てを助けてもらいながら働いてきた。

あるとき、職場で勤務成績優秀ということで表彰され、何気なく母に賞状を見せた。それを見た母はしみじみと言った。

「あなたが仕事で活躍してくれることが私の存在価値だ。私は表彰してもらえないけど、私がいるからあなたは仕事に集中できて、表彰をもらえたと思える。この賞状は私への賞状のように思えてうれしい」と。

私はハッとした。今までそんな風に考えたことがなかったし、母に感謝の気持ちを伝えることもしなかったから。

人は他人からほめられたり、感謝されたりすることで自分の存在価値を感じ、自分の生きてゆく力にするのかもしれない。

感謝の気持ちは思っているだけではなく、相手に伝えることが大事だと改めて感じた。相手が自分に身近な存在であるほど難しいことだけれど、それが表彰状に値するのだ。

ありがとう、お母さん。

斎藤照美(47)徳島市川内町