「電力」「地域活性化」両翼に 九電が新長期ビジョン発表

長期経営目標を発表した九州電力の池辺和弘社長
長期経営目標を発表した九州電力の池辺和弘社長

 ■経常利益、倍増の1500億円目指す

 九州電力は7日、令和12(2030)年度までに、経常利益(連結)を倍増の1500億円とする長期経営目標「九電グループ経営ビジョン2030」を発表した。九州を中心とする国内電力事業と、都市開発や住民サービスといった地域活性化に貢献する事業を「両翼」として羽ばたく企業を目指す。(九州総局 中村雅和)

 「社会的課題の解決に貢献し、地域社会とともに明るい未来を創っていく。(取り組みを)九州から世界に広げていく」

 池辺和弘社長は同日の記者会見で、こう宣言した。

 電力を含むエネルギー事業者としての戦略では、低価格で安定した電気の供給という創業以来の「哲学」を改めて掲げた。低炭素社会もにらんで、原発の最大限の活用や、再生可能エネルギーの拡大をうたった。

 再エネ開発では現状の出力計200万キロワットを、500万キロワットに拡大する。洋上風力やバイオマスに力を入れる。

 ビジョンのもう1つの柱が、九州全体の発展を目指した戦略だ。「持続可能なコミュニティーの共創」と銘打ち、ICT(情報通信技術)関連や、都市開発などを通じた地域の活性化を目指す。

 ビジョンを取りまとめた九電コーポレート戦略部門の西山勝部長は「これまでは『九電としてこうします』という内容が、主だった。今回は『九州をこうしたい』という思いを込めた」と述べた。

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 九電にとって、10年先を見た経営ビジョン策定は、平成21年3月以来となる。

 この10年で経営環境は厳しさを増した。

 省エネ技術の発展と人口減少によって、国内の電力需要は低下傾向にある。九州における九電の販売電力量は過去10年で、約13%減少した。

 令和32(2050)年の全国の電力消費量は平成28年比23・5%減の7268億キロワット時となり、平成初期の水準と同程度にまで落ち込む-。シンクタンクの日本総研は30年5月に、こんな試算を発表した。

 逆風にもかかわらず、九電のビジョンは、国内外合計の年間販売電力量を、現状の900億キロワット時から1200億キロワット時に伸ばすことを盛り込んだ。

 実現には強力なエンジンが必要となる。

 まず海外の電源開発だ。九電は海外で関与する発電所を、現在の出力計200万キロワットから、500万キロワットに拡大する。

 もう一つのエンジンは、やはり九州だ。

 池辺氏は「地域が発展すれば、電気は買ってもらえる。人口の自然減はあるだろうが、社会増を目指したい。グループ全体で、九州全体が栄えていく手助けをする。『九州から未来を創る』企業を目指す」と述べた。

 具体的には、都市開発や空港運営を通じた交流人口増加や、自治体などとも連携した企業誘致に力を入れる。地域活性化によって新たな電力需要を生み出す。

 電気自動車の普及拡大や、工場の電化推進なども実行する。

 ビジョンではこうした取り組みによって、国内電気事業の経常利益を、現状の1・5倍の750億円とする。一方、地域の維持・活性化事業や海外電力の利益を計750億円とする。

 掲げた目標は高い。池辺氏は「計画ではなく目標だ。手が届かない所の酸っぱいブドウではないが、頑張らないと達成できない」と語った。

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