国内のスーパーやコンビニなどで買い物客へのプラスチック製レジ袋の無料提供が法律で禁止される見通しとなった。
原田義昭環境相が明らかにした。
レジ袋を有料化することで使用量を抑制し、ひいてはプラスチックごみの発生削減に結びつけたい考えだ。
日常的に多用され、一回限りで用済みとなるレジ袋に対しては、資源節約の上からも利用を控えるべきだという声が、以前からあった。一理ある考えだ。
だが、レジ袋の削減でプラごみ問題が改善されるわけではないことを知っておきたい。日本のプラスチック廃棄物全体に占めるレジ袋の割合はごくわずかだ。プラスチック製ストローも同様だ。
そもそも、ポイ捨てをしなければ、レジ袋もストローも野山や海の美観を損ない、生態系を乱すプラごみにはなり得ない。
レジ袋に負のレッテルを貼るだけの運動に終わってしまったら、ほとんど本末転倒だ。
日本国内で1年間に発生するプラスチック廃棄物は約900万トンに上る。リサイクルで新たなプラスチックに生まれ変わるのは、そのうちの4分の1にすぎない。
残りの大部分は「熱回収」という名の下に、廃棄物発電やセメント製造などの燃料として燃やされるなどして消えている。あまりにもったいない。
政府はプラスチック廃棄物の全貌を正確に把握し、国民にわかりやすく伝えるべきだ。
今月、国内で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議で日本が示す「プラスチック資源循環戦略」には、容器や包装プラのリユース・リサイクルの拡充目標が掲げられている。
実現には、家庭からの適切なごみ出しの徹底が不可欠である。自治体による差もあるが、一般にプラ類の出し方は複雑だ。
世界の海には膨大な量のプラごみが流れ込んでいるとされており、G20では新たな地球環境問題として浮上した海洋プラスチックへの対応も話し合われる。
海プラに関連して先ごろ改正されたバーゼル条約によって、日本からのアジア諸国への廃プラ輸出の道も閉ざされる。
プラごみ問題は大きな転換点を迎えている。安倍晋三政権には途上国支援と国益確保の両立を可能にする賢明な対応を求めたい。