米国で「中絶禁止法」続々 大統領選焦点に トランプ氏は対応に苦慮

 対応に苦慮したのは、支持率トップのバイデン前副大統領だ。カトリック教徒のバイデン氏は「女性が選択する権利」を支持するものの、中絶には否定的な考えを持っている。

 同氏は6月5日、連邦政府の中絶医療に対する補助金支出が禁じられている現状に賛意を表明。サンダース氏ら左派候補や中絶擁護団体から批判を浴び、翌6日に発言を撤回した。

 一方、中絶反対派を自任するトランプ氏も難しい立場だ。アラバマ州の禁止法成立にしばらく沈黙したが、3日後の5月18日になってツイッターに投稿した。「私は強固な中絶反対派だが、例外が3つある。性的暴行、近親相姦、母親の命を守る場合だ。レーガン元大統領と同じ立場だ」

 トランプ氏は、「左派」が認めるべきだとしている妊娠後期の中絶には反対だと強調。「2020年(大統領選)には生命のために勝たなくてはならない」と保守層の結束を呼びかけたが、いつもの攻撃姿勢は鳴りを潜めた。

 大統領再選を目指すトランプ氏にとっては、強硬保守層の支持固めが重要である半面、女性票の掘り起こしも不可欠だ。米世論調査会社「パブリック・ポリシー・ポーリング」によると、勝敗の鍵を握るとされる都市郊外の女性では、約8割が中絶の権利を支持しているという。

 「米国の有権者の多くは人工妊娠中絶に否定的だが、一方で違法にすべきではないという複雑な考えを持っている」。米エール大のイアン・シャピロ教授(政治学)はこう述べ、中絶をめぐる賛否の極端な主張はいずれも広く受け入れられないと分析する。

 同教授は、アラバマ州法をめぐる法廷闘争で1973年の判例が覆される可能性は低いと指摘。「仮に最高裁で審理されることになった場合、中絶容認派を勢いづかせ、トランプ氏にとっては不利な展開になるだろう」と予測している。

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