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第48回日本漫画家協会賞の贈賞式が7日、東京都内のホテルで行われ、5氏が表彰された。
コミック部門大賞は山田参助(さんすけ)さんの「あれよ星屑」(KADOKAWA)。敗戦直後の東京で、心に闇を抱えた元陸軍軍曹と、軍隊時代の部下である一等兵が再会。生と性や、男同士の人間関係を描いた。
選考委員の安彦良和さんは「昭和45年生まれ、戦争を知らない世代とは思えない堂々たるリアルな描写に驚いた。想像力を働かせてしっかり戦争を描くことに、心強いものを感じる」と評価した。
大阪芸大在学中にゲイ雑誌「さぶ」に投稿し活動を始めた山田さんは、今作が初の本格的な長編。
「わかりやすく伝えるのがマンガのやり方でしょうが、ひねくれた性分なので、わかりにくい内容をわかりにくいまま読んでほしいという傲慢な考え。にもかかわらず選んでいただき、感謝いたします」と謝辞をのべた。
カーツーン部門の大賞は横田吉昭さん。こちらも戦争、戦場がテーマの「横田吉昭のカートゥーン」が対象で、自費出版した。日ごろは国内の通信社向けに一コマ漫画を描いているほか、海外で漫画コンテストの審査委員を務め交流している。
横田さんは「日本ではカートゥーン、一コマ漫画を画く人も少なくなかなか認められないが、海外の一コマ漫画は価値ある芸術とされている。すぐれた作品を提供できれば、まだまだ発展するはず。世の中の真実を端的に表現できるのが一コマ漫画だ」とあいさつした。
また昨夏、53歳で亡くなったさくらももこさんの全作品に対し、特別賞が贈られた。「ちびまる子ちゃん」の単行本は累計3200万部に及ぶ。選考委員長の里中満智子さんは「漫画だけでなくエッセーも素晴らしかった。存在そのものが文化だった。これからも長く、さくらももこさんの世界が愛されることを願っている」と語った。
優秀賞は齋藤なずなさんの「夕暮れへ」(青林工芸舎)、文部科学大臣賞にバロン吉元さんの全作品に贈られた。
日本漫画家協会賞は漫画文化の普及と漫画界の向上発展をはかる目的のもと、公益社団法人日本漫画家協会(里中満智子理事長)に属する漫画家が選考委員になって、優秀作品を選出、顕彰するもの。