「なつぞら」超えるか 次期朝ドラ主人公の波瀾万丈

 悪戦苦闘する中、頼りになったのは、女性陶芸家としての神山さんの噂を聞きつけて自宅を訪ねてくる陶芸家たちだった。信楽窯業技術試験場での研修を担当する陶芸家が「壺(つぼ)の首の形はこうしたほうが良い」などと助言してくれた。展覧会の審査を担当する作家もいて、アドバイス通りに仕上げた作品を出品すると、「面白いくらい入選した」という。

セイシ先生?

 ある日、展覧会で作品を見て興味を覚えたという男性が自宅を訪ねてきた。まだ、陶芸家は男性が常識だった時代。訪ねてきた男性は「神山清子」を「カミヤマセイシ」という名の男性陶芸家と思い込み、応対した神山さんをその弟子と勘違い。「セイシ先生はご不在ですか」と聞いてきた。気まずくなり、適当にごまかしたが、男性はその後もたびたび来た。何度頼んでも会ってくれない「セイシ先生」に業を煮やし、「ほんまに頭の高い男や」と激高。目の前の女性から本人であることを打ち明けられると言葉を失った。神山さんは「あのときの表情は一生忘れへん」と笑う。

自然釉との出合い

 そんな神山さんの陶芸家としての評価を確たるものにしたのは、釉薬(ゆうやく)を使わずに鮮やかな色を出す「自然釉」の技術。信楽にあった平安時代のものとされる窯場跡を歩いていた際、味わいのある色をした小さな陶器の破片が目にとまり、「こんな色を出したい」と思ったのがきっかけだった。