包あん機開発の「レオン自動機」創業者の人生描く小説「すっぴん」出版 「知見や哲学伝える」

完成披露会で「すっぴん」を寄贈される福田富一知事(右から2人目)
完成披露会で「すっぴん」を寄贈される福田富一知事(右から2人目)

 自動でまんじゅうを作る「包あん機」を世界で初めて開発するなど、食品製造機械を手掛ける「レオン自動機」(宇都宮市野沢町)の創業者、林虎彦名誉会長(93)の人生を妻の目線から描いたドキュメンタリー小説「すっぴん」が出版された。林氏の業績を後世に伝えるプロジェクトとして発足した「林虎彦物語製作」(相場清人社長)が制作した。

 林氏の妻、和子さん(82)や周辺の人々へのインタビューを通し、林氏のエピソードをまとめたドキュメンタリータッチの小説。著者は和子さんで、当時は重労働だった和菓子製造を機械化へと導いた先駆者の情熱や苦労などをつづった。

 きっかけは、平成28年に同社がテレビ番組に取り上げられた際、出演していた作家の村上龍氏から「林氏の生涯や業績を伝える本はないのか」と問われたことから。すぐにプロジェクトを立ち上げ、3年をかけて完成にこぎつけた。

 先月末には、市内のホテルで約160人が参加して完成披露会が開かれた。林夫妻は静養中で欠席だったが、会場では出席者への感謝の思いをしたためた和子さんの手紙を相場社長が代読。相場社長は「出版の目的は、林氏の人生が壮絶なドラマであり、激動の時代を駆け抜けた歴史と、重要な知見や哲学を多々含んでいることを時代を超えて伝えていくこと」とあいさつした。

 小説は県内の学校や公共施設に計1200冊寄贈された。目録を手渡された福田富一知事は「林氏には長年にわたり本県の産業の発展に寄与していただいた。本を多くに届け、これからの子供たちから世界を目指す第2、第3の林氏が誕生することを願っている」と話した。

 一般の購入は「林虎彦物語」のオフィシャルサイトhttps://torahiko.jpから。価格1800円(税別)。問い合わせは林虎彦物語製作委員会(028・688・7992)。(松沢真美)

【プロフィル】林虎彦氏

 大正15年、父の仕事の関係で台湾・高雄に生まれ、終戦後に帰国。昭和25年、金沢市で和菓子製造の「虎彦」創業。その後、鬼怒川温泉(日光市)に移る。和菓子製造の機械化を思い立って、10年以上の歳月をかけ36年に包あん機を開発。38年、宇都宮市でレオン自動機を設立した。その後もパン生地をシート状に伸ばして製造する製パンシステムを開発するなどした。

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