政府は4日、農林水産物や食品の輸出拡大に向けた関係閣僚会議を開き、衛生管理の審査などの業務を農林水産省に一元化する新組織を来春にも設置することを決定した。省庁間の縦割りを排することで手続きにかかる時間を短縮し、輸出を促進する狙いがある。
菅義偉官房長官は4日の記者会見で「輸出が急増するにつれて行政上の対応の遅れが指摘されている。大きな可能性があるわが国の農産品輸出が滞る事態は早急に解消する必要がある」と述べた。
政府は6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込む。早ければ今秋に予定する臨時国会に新法を提出し、早期の設置を目指す。
現在、輸出促進策や各国との輸出規制をクリアするための交渉は農水省が担っている。一方、欧米向けに牛肉などを輸出する際に必要な食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」の審査は厚生労働省が行う。さらに外務省が関係する場合もあり、省庁間調整に手間取って輸出の妨げになることがあった。
新組織は、各国との交渉から衛生管理の審査を一貫して行う。輸出したい業者を対象にした申請相談窓口も新組織が担う。
農林水産物の輸出は第2次安倍晋三政権発足後、急速に増えており、平成30年の輸出額は9068億円で過去最高を更新した。政府はさらなる上積みを目指し、菅氏をトップとする関係閣僚会議を今年4月に設置して課題の洗い出しや対応の検証を進めていた。