米利下げ「近いうち適切に」 FRB幹部 貿易摩擦で景気悪化

 【ワシントン=塩原永久】米セントルイス地区連銀のブラード総裁は3日の講演で、連邦準備制度理事会(FRB)による利下げが「近いうちに適切になるかもしれない」と述べた。貿易摩擦の激化で「想定より急激に(経済が)減速するリスク」があると指摘。早期の利下げにより景気悪化に予防的に対処すべきだとの考えを示唆した。

 講演記録によると、中西部シカゴでブラード氏は、事実上決裂した米中貿易協議などを念頭に「国際貿易を取り巻く不確実性が高まり、世界経済と米経済に負の影響を及ぼしかねない」と言及。金融市場や設備投資の悪化を通じ、経済への悪影響が急速に広がる可能性があると懸念を示した。

 ブラード氏はインフレ率やインフレ期待の低迷を問題視し、政策金利の引き下げは「想定以上の景気減速に対する保険にもなる」と述べ、早い段階の利下げを支持する姿勢を表明した。

 FRBの金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)で、同氏は投票権を持っている。

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