外交安保取材

日米首脳の「かが」そろい踏みは「中国が最も見たくない画」

【外交安保取材】日米首脳の「かが」そろい踏みは「中国が最も見たくない画」
【外交安保取材】日米首脳の「かが」そろい踏みは「中国が最も見たくない画」
その他の写真を見る (1/4枚)

令和初の国賓として来日したトランプ米大統領。安倍晋三首相はゴルフ、大相撲観戦、炉端焼きとさまざまな趣向でトランプ氏をもてなしたが、締めくくりの舞台に選んだのは海上自衛隊の護衛艦「かが」だった。法の支配や航行の自由脅かす中国に対し「揺るぎない日米同盟」を強く印象づけると同時に、自衛隊の能力強化が米国の安全保障や貿易にも貢献するとのメッセージをトランプ氏に伝える狙いがあった。

安倍首相「史上初」

「マリーンワン、着艦」

5月28日午前10時半、米大統領専用ヘリの到着を知らせるアナウンスが「かが」の格納庫に流れた。安倍首相を乗せた要人輸送ヘリ「スーパーピューマ」は、その30分前に着艦していた。首相はマリーンワンから出てきたトランプ氏に近づき、握手を交わすと報道陣の写真撮影に応じた。現職の米大統領が自衛隊の艦艇に乗艦したのは初めてのことだった。

飛行甲板からエレベータで格納庫へと降りた両首脳は、約500人の海自、米海軍の隊員に盛大な拍手で迎えられた。

首相は訓示で「日米両国の首脳がそろって自衛隊、米軍を激励するのは史上初めてのことだ。日米同盟は私とトランプ大統領の下でこれまでになく強固なものとなった。この艦上にわれわれが並んで立っていることがその証だ」と強調してみせた。トランプ氏も「素晴らしい護衛艦『かが』に乗船することができることをうれしく思う」と語った。

「かが」は、いずも型護衛艦の2番艦で、1番艦の「いずも」と並び海自最大の艦体を誇る。政府はこの2隻の飛行甲板を改修し、短距離離陸・垂直着陸が可能な最新鋭ステルス戦闘機F35Bを搭載する事実上の空母とする方針だ。

背景には、脅威を増す中国軍への危機感がある。中国は国産空母の建造を進め、東シナ海から西太平洋へと活動範囲を広げつつある。日本周辺の広大な海空域で自衛隊の優位性を確保するには、洋上で戦闘機を運用できる空母の機能が欠かせない状況となっている。

いずも型は、安倍政権が提唱する「自由で開かれたインド太平洋構想」を最前線で支える存在でもある。海自は昨年から「インド太平洋方面派遣訓練」を始めた。2カ月以上にわたり南シナ海やインド洋をめぐり、沿岸国との共同訓練を通じて関係強化を図っている。昨年は「かが」、今年は「いずも」がその大役を担った。2隻は能力とプレゼンス(存在感)の両面で海自の象徴といえる。

いずも型の空母化改修やインド太平洋地域への派遣が対中国を意識していることは、当然ながら中国自身も理解している。だからこそ、「かが」に日米首脳が乗艦して蜜月を発信することは、強い抑止力としての効果を発揮する。

「中国にとっては最も見たくない、嫌な画になっただろうね」

政権幹部はこう語った。