朝晴れエッセー

母からの小包・6月3日

私は、昭和57年に結婚した。私が田舎から大阪に出た後を妻が追ってきてくれたことから、お互いの両親を安心させるためにも結婚した方がよいだろうと思ったのだ。

ただ金はなく、常に生活費には困っていた。そんなとき、田舎の母親から届く小包は本当に有り難かった。その中には田舎で採れた米や野菜、果物がいっぱい詰め込まれていたのだ。

結婚して何年かたったころ、また母親から小包が送られてきた。

今回は何が入っているのだろうと開けると、やはりその中に米や野菜、漬物等が多数入っていて「あ~有り難いなあ」と一つ一つ出していったところ、隅に白い封筒も入っているのに気が付き開けてみた。

その中には、5千円札が6枚、3万円のみが入っていた。

私の田舎は、約20軒程の集落で、バスも通らず店も自動販売機もない。皆農業で自給自足の生活をしている。数少ない現金収入に、春の山菜ワラビやツワブキを採って町に持って行き業者に買ってもらうのがある。ツワブキなどはトラック一杯持っていっても1万円にも満たないが、母は毎年春にはその山菜狩りをやっていた。

封筒の現金を見たとき、この金はそのお金に間違いないと思い、私は涙ぐみながら妻に「この金は使えないね」と話した。

優しかった母は平成16年に77歳で逝き、その3年後に父も逝った。

この5月に息子が結婚する。私と妻で、母が送ってくれた『やさしい小包』を、自分の子供にも送ってあげたい。

中山 末夫 60 会社員 三重県名張市