ラグビーのワールドカップ(W杯)の日本代表メンバーが大筋で固まった。会見でジョセフ・ヘッドコーチは「私の仕事は勝てるチームのメンバーを選び、バランスを取っていくこと」と語ったが、山田、立川ら経験ある選手を外した。
55キャップを誇る元主将、立川の落選について「選手、コーチから尊敬されている選手で厳しい決断だった」と明かした。過去の実績にこだわらず、ベストのメンバーを追い求めるとともに、福岡とレメキの両WTB、FB松島を名指しして「特別な力を持っている」とレギュラー起用を示唆するなど、W杯8強入りへ万全の態勢を貫く覚悟が見える。
パシフィック・ネーションズカップ(PNC)、W杯とも登録の上限が31人と少ないため、複数のポジションをこなせる選手を多く選んだ。象徴がウォーレンボスアヤコで、サンウルブズでは今季、本職のFW第3列だけでなく、CTBでもプレーした。またW杯で戦うアイルランドなどを想定し、「空中戦に耐えられる大きい選手が必要」と201センチのハッティングら長身選手を重視。一度は代表から退いた196センチの38歳、トンプソンの選出にも踏み切った。
一方でW杯出場歴のある選手は12人にとどまり、経験不足は否めない。日本国籍を持たないウォーレンボスアヤコやハッティングは居住3年で得られる代表資格がまだ明確には認められておらず、恥骨の炎症を抱えるリーチの合流時期が不透明など不安要素も少なくない。残り3カ月余り。ヘッドコーチらの手腕が問われる。
(奥村信哉)