朝晴れエッセー

詩も作れ田も作れ・6月2日

中学校の教員をしている知人から聞かされてショックを受けた言葉がある。それは「普商工農」という四字熟語だ。高校の科別ランキングは普通科、商業科、工業科、農業科の順だというのだ。私が学んだ農業科は最下位だった。思いもよらないことだった。

私が高校に進学したときにはそんな順位はなかった。それぞれの家業を学ぶために進学したのだ。私が愛知県東部の県立高校の農業科に進んだのは農家の長男だったからだ。しかし私が不本意就学に気づいたのは入学直後だった。私は農場での実習よりも図書館での読書を好む少年だったのだ。

在学中は恩師から「詩を作るより田を作れ」と常に言われたものだ。しかし、私はその教えには背いてしまった。大学や大学院で日本文学を学び、高校や大学の教壇に立った半生に悔いはないが、畑違いの道に進んだという後ろめたさはある。

ところが、最近、農業高校が注目されているという。どうやら、荒川弘氏のマンガ『銀の匙』の影響があるようだ。作品の舞台は北海道の農業高校だ。その中には家業の酪農が破(は)綻(たん)し、プロへの夢を断念せざるをえなかった野球部の投手も登場する。それは架空の人物だが、近年、その夢を現実にかなえた農高生も出現した。金足農高の吉田投手だ。連続テレビ小説『なつぞら』のヒロインも農高生だ。

がんばれ、農高生! 「詩も作れ田も作れ」

安藤 勝志 77 静岡市葵区