朝晴れエッセー

桜島・6月1日

孫たちの春休みを利用して故郷鹿児島へ、墓参りを兼ねた2泊3日の家族旅行へ行ってきた。

総勢10人での3年ぶりの帰省に、少し興奮気味の子供や孫たちから「砂風呂に入りたい、おいしい黒豚やサツマ料理を食べたい」などと、ふところ具合などお構いなしのリクエストに苦笑しながらプランを練った。

そんな中、心ひそかに楽しみにしていたのが、標高200メートル弱の「城山」から桜島を眺めることであった。

今は、山頂もきれいに整備され多くの市民の憩いの場所となっているが、中学の野球部時代、冬になれば雨でぬかるんだ山道を体力に勝る先輩たちに追いまくられ、ドロドロになりながら駆け上る厳しいトレーニングは連日続き退部者も出るほどであった。汗と涙をぬぐいながらやっとの思いで山頂に着くと、眼下に浮かぶ桜島は黒煙を空高く舞い上げながら威風堂々と錦江湾に浮かんでおり、野球少年たちの情熱を駆り立てるには十分で衝撃的な光景であった。

しかし、挫折の連続で甲子園への道を断たれ、父親の勧めで大阪消防へ。

今度は、救助隊員として消防の甲子園(レスキュー全国大会)への切符をやっと手に入れ、「城山」から父と眺めた桜島を忘れたことがない。

そんな思いに涙しながら、桜島をバックにおさめた1枚の集合写真は質素なプランなど吹き飛ばす、子供たちの満面の笑みがあふれていた。

徳重 教正 67 会社員 大阪市阿倍野区