【シンガポール=森浩】アジア太平洋地域の安全保障について各国の閣僚らが意見交換するアジア安全保障会議(シャングリラ対話)が31日、シンガポールで開幕した。中国国防相として8年ぶりに参加する魏鳳和国務委員兼国防相は同日、米国のシャナハン国防長官代行と会談した。
米中国防トップの会談は2018年11月以来。両者は北朝鮮の非核化の推進で共同歩調を取ることで一致。米国防総省は会談について「両国の誤解を減らすため軍同士の関係を築く方法を議論した」と説明した。
米中は貿易面で対立が深まる中、南シナ海や台湾をめぐって安全保障面でも緊張が高まる。中国はここ数年、会議に軍系列のシンクタンク幹部らを派遣していたが、今回国防相を出席させた背景には米国を牽制する狙いがある。
南シナ海の軍事拠点化を進める中国に対し、米海軍は5月、中国が実効支配する南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺などで「航行の自由作戦」を計2回実施。中国の台湾への圧力に対して、米艦隊は今年に入り複数回、台湾海峡を通過している。
会議では両者の主張が鋭く対立する見通し。シャナハン氏は魏氏との会談に先立ち、中国の南シナ海の拠点化について「防衛のためと主張しているが、やり過ぎだ」と述べて批判した。
会議は2日までで岩屋毅防衛相も出席し、日米韓、日米豪の防衛相会談で朝鮮半島情勢などを協議し、魏氏とも会談する予定だ。