JASRACにBGM利用申請相次ぐ、訴訟影響か

 著作権を管理する楽曲をBGMとして無断で使用されたとして、日本音楽著作権協会(JASRAC)が山梨、大阪、福岡各府県の飲食店経営者に損害賠償などを求める訴訟を起こしたところ、同様に著作権料を支払っていなかった全国の店舗からBGMの利用申請が多数寄せられたことが分かった。JASRAC担当者が明らかにした。訴訟が影響したとみられる。

 JASRACは5月13日、飲食店経営者に損害賠償とBGMの使用中止を求める訴えを、甲府、大阪、福岡地裁でそれぞれ起こした。JASRACはこれまで、対象となった店舗側に口頭や書面で支払いを求めたり、民事調停を申し立てたりしたが折り合うことができず、提訴に踏み切ったとしている。

 JASRACの担当者によると、訴えを起こした後、全国のJASRAC支部で未払いだった店舗側から、BGMの利用申請が相次いだ。正確な数については「現在集計しており、明らかにできない」(担当者)という。

 JASRACの推計では全国でBGMを利用する約125万店のうち約40万店が未契約の可能性がある。

 JASRACによると、著作権を管理する録音物を店側がBGMとして流す場合、面積500平方メートルまでの店舗なら年額6千円の使用料が必要となる。

 ■「徴収のやり方公平でない」/提訴された大阪のバー経営者

 「徴収方法が公平ではないのでは」。JASRACが起こした訴訟で、被告となった大阪市内のバー経営者の男性(46)が産経新聞の取材に応じ、こんな疑問を打ち明けた。

 バーは平成25年8月にオープン。これまで数回、店を訪ねてきたJASRAC職員から著作権料の支払いについて説明を受けたが「職員の態度が横柄で、納得できる説明もなかった」といい、支払いを拒んだ。

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