氷河期世代の安定就労へ一体型支援 厚労省が策定

 厚生労働省は29日、「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を開き、バブル崩壊後の平成5~16年ごろに大学や高校を卒業した30代半ば~40代半ばの就職氷河期世代を対象にした「活躍支援プラン」を了承した。人材不足の業界団体に委託し、資格取得から安定的な就労まで「出口一体型」の支援を行うのが柱。政府が6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」や令和2年度概算要求などに反映させる。

 プランによると、厚労省は安定的な就労に有効な、氷河期世代向けの「短期資格習得コース」を創設する。同省から委託を受けた業界団体は、求職者に対し短期の訓練で資格を取得させ、事業所での訓練や職場体験を通じて正社員として就職させる。

 委託先は建設、運輸、農業などの業界団体を想定している。建設業では小型クレーンやフォークリフトなどの資格になるとみられる。事業者に対する人材開発支援助成金の支給要件を緩和する。

 厚労省の都道府県労働局や自治体、経済団体、金融機関などによる都道府県レベルのプラットフォーム(連絡協議体)を構築し、事業実施計画の策定、進捗(しんちょく)管理を行う。社会問題化している不安定な就労を原因とした中高年の引きこもり対策も明記した。

 総務省の労働力調査によると、氷河期世代の人口は平成30年で約1689万人。このうちフリーターなどは約52万人、他の派遣社員や契約社員、パートの既婚女性ら非正規で働く人は約317万人に上る。

 氷河期世代の収入が不安定なまま高齢化すると生活保護受給世帯が増えるなどして将来の社会保障費が膨張し、財政悪化につながる恐れがある。安倍晋三首相は4月の経済財政諮問会議で氷河期世代への就職支援を強化するよう指示した。

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