ドローンで無人物流モデル、九大跡地で実証実験 再開発の目玉、福岡市とベンチャー協力

九州大箱崎キャンパス跡地を自動操縦で飛ぶドローン(左上)
九州大箱崎キャンパス跡地を自動操縦で飛ぶドローン(左上)

 福岡市などは28日、同市東区の九州大学箱崎キャンパス跡地で、自動操縦のドローン(小型無人機)を使った輸送の実証実験をした。操縦者がいない都市部での飛行は国内初で、実験は成功した。市が再開発を進める同跡地では、買い物の荷物や非常時の救命装置を、無人ドローンが運ぶ最先端のまちづくりを目指す。 

(九州総局 中村雅和)

 この日の実験は、ドローン飛行のベンチャー企業も参加し、自動体外式除細動器(AED、重さ1キログラム)を救命措置の現場に届けるとの想定で行われた。

 担当者はドローンにAEDの模型を取り付け、専用の輸送車に乗せた。前後してドローンのシステムに、目的地と経由点の情報を入力する。

 輸送車はカメラやセンサーを使って周囲や上空の様子を調べ、安全が確保できる地点に自動で移動。間もなくドローンが離陸した。機体は上空約30メートルにある経由点を通過して、約200メートル離れた目的地に着陸した。

 福岡市は同跡地の再開発で、ICT(情報通信技術)を活用する「福岡スマート・イースト」の事業に取り組む。技術活用の一つが、ドローン物流網の整備だ。

 ドローン活用には、地元住民が漠然とした不安を抱くことも多い。そこで市は今回、最新技術を住民が見学できるようにした。

 実験に招かれた地域の無職男性(73)は「難しいことはよく分からないが、実際に飛んでいる姿を見るのと見ないのでは、印象がかなり違う。大丈夫そうな気がする」と語った。

 高島宗一郎市長は「説明するよりも具体的な『見える化』が安心感につながる」と述べた。

 ■14兆円市場

 ドローンビジネスは、大きな伸びが見込まれる。イギリスのコンサルティング大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)によると、潜在的な世界市場規模は約14兆円に上るという。

 国内市場も同様だ。インプレス総合研究所(東京)は、平成29年度の503億円から、令和6(2024)年度は3711億円に拡大すると試算した。

 ただ、実用化を目指すドローン事業者は、実験の場の確保に苦心している。

 ■福岡だから

 ドローンに関して平成30年9月、機体を直接見ずに操縦する「目視外飛行」が、条件付きで解禁された。ただ、飛行経路の地権者から許可を受ける必要があり、特に都心ではハードルが高い。

 都心でドローンを自由に飛ばせる広い土地は、めったにない。

 例外が箱崎キャンパス跡地だ。

 福岡市で実施されたこの日の実験には、ドローンメーカーの自律制御システム研究所(千葉市美浜区)と、ドローン飛行のトルビズオン(福岡市中央区)などが参加した。

 両社がさまざまな実績を持ち、地権者が九大に限られていたことから、国土交通省が特別に許可した。

 今後、同跡地は都心を想定したドローン活用にとって、格好の実験地となり得る。

 さらに市内では、ANAホールディングスなどと共同で、西区の唐泊港から玄界島までの海上約5キロを、自動操縦でドローンを飛ばす実験が進む。

 ICTの関連企業の集積が進むことも、福岡市でのドローン実証実験を後押しする。

 トルビズオンの増本衛社長は「これからは、どうやって地域の理解を得て、サービスを実現するかが重要となる。これまでは東京でないとできないことは多かったが、そうした点を考慮すれば、今や福岡だからできることが増えている」と語った。

会員限定記事会員サービス詳細