高級旅館やリゾートホテルの運営で知られる星野リゾート(長野県軽井沢町)は28日、大阪市内で記者会見を開き、JR・南海新今宮駅前(同市浪速区)で令和4(2022)年4月に開業を予定する新ホテルの名称を「OMO7(おもせぶん)大阪新今宮」と発表した。これまでの高級路線と差別化し、下町風情も楽しめる新たな都市観光ホテルを目指す方針で、同社の星野佳路(よしはる)代表は「ここを拠点に大阪の観光の形、サービスを新しくしていきたい」と意欲を示した。28日午後に起工式を開き、3年11月の完成を見込む。
「OMO」は同社が昨年から展開するホテルブランドで、大阪は北海道、東京に続き3店舗目。建設するホテルは地上14階建て、客室は全436室で、温浴施設やレストランを備える。敷地内には新今宮駅のホームから見える緑地も整備し宿泊客や地域住民らが集うにぎわいの場とする。
建設地はJR大阪環状線の駅前で、約1万4千平方メートルと甲子園球場(兵庫県西宮市)のグラウンドより広い。かつて金属加工工場などがあり、大阪市が昭和50年代に公園整備のため買い上げたが実現せず、30年以上も塩漬けになっていた。
市は近年の訪日外国人客急増を機に、宿泊施設の供給不足解消に役立てようとホテルに限定したプロポーザル(提案型入札)方式の事業者公募を実施。隣接する日雇い労働者の街「あいりん地区」(大阪市西成区)のイメージも強く、多くの企業が進出をためらうなかで唯一、手を挙げた星野リゾートが平成29年3月に約18億円で市から用地を取得した。
【星野リゾート】 長野県軽井沢町に本社を置く、国内外で事業を展開するホテル運営会社。同町に大正3年に開業した星野温泉旅館がルーツで、今年で創業105年になる。ホテルブランドでは、高級クラスの「星のや」(6施設)、温泉旅館「界」(15施設)、西洋型リゾート「リゾナーレ」(3施設)、都市型観光ホテルと位置付けた「OMO(おも)」(2施設)を持つ。このほか、北海道、福島県などで8施設の宿泊施設を運営する。新今宮駅の隣接地に建設するホテルは、OMOブランドとして3施設目になる。