【ロシアを読む】露アエロフロート機炎上 人的ミスの背景にパイロット流出(1/2ページ) - 産経ニュース

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露アエロフロート機炎上 人的ミスの背景にパイロット流出

ロシアの首都モスクワのシェレメチェボ空港で5月5日、露航空会社アエロフロートの旅客機が緊急着陸に失敗し炎上、乗員・乗客ら計41人が死亡した事故は、パイロットの人的ミスが主な事故原因との見方が強まっている。背景として注目されるのが、ロシアのパイロットの質が低下している可能性だ。航空需要が世界的に高まる中、ロシアでは高額報酬を目当てに他国の航空会社に移籍するパイロットが後を絶たない。ソ連時代からの伝統を持つ露航空業界の信用を失墜させた今回の事故に、国内では危機感が広がっている。

(モスクワ 小野田雄一)

緊急着陸で引火

露航空当局の調査などで明らかになってきた事故の経緯は、次のようなものだ。

強い雨が降るなど悪天候だった5日、乗員・乗客78人を乗せたロシア製旅客機「スホイ・スーパージェット100」(SSJ100)は午後6時すぎにシェレメチェボ空港を離陸し、北に約2千キロの都市ムルマンスクに向かった。しかし離陸から間もなく機体に落雷を受け、通信機器に障害が出た。機長(43)は自動操縦を解除し、引き返すことを決断した。

同機は午後6時半ごろ、空港に緊急着陸。しかし、機体後部を滑走路に打ちつけ、燃料タンクが損傷。漏れた燃料に引火し、機体後部が火に包まれた。後部ドアは使用できず、乗客は前部ドアからの脱出を余儀なくされた。

着陸した時点では、機体内部には火は回っていなかったという。しかし、一部の乗客が脱出時に座席頭上の荷物を取り出すなどしたため、後部座席の乗客らの避難が遅れた。その後、機体内部にも延焼し、逃げ遅れた乗客らが死亡。主な死因はやけどや一酸化炭素中毒だとみられている。

重量オーバーか

事故直後は、落雷による機体の故障が事故原因になった可能性があるとの見方が示された。ただ、現在の旅客機には十分な落雷対策が施されていることもあり、専門家の間では懐疑的な見解も出ていた。

ここにきて露当局が有力な事故原因として着目しているのが、パイロットの判断ミスや操縦ミスだ。

燃料が多く残った旅客機を緊急着陸させる場合、パイロットは通常、機体を軽くするため、燃料を空中で投棄する。しかし今回、機長らは燃料投棄を行わなかったとされる。そのため、着陸時の負荷に耐えきれずにタイヤなど足回り部分が破損。飛び散った部品が燃料タンクにぶつかり、燃料漏れによる火災を招いた-との見方が強まっている。

さらに露有力経済紙RBKは、機長が着陸後すぐにエンジンを切らなかったことも火災の拡大につながった可能性があると伝えた。当局はすでにブラックボックスの解析を終え、数カ月以内に最終的な事故調査報告書を公表する見通しだ。