朝晴れエッセー

さすがに言わない・5月27日

「今日の晩ごはん、何?」毎日決まってこう聞いてくる息子。用事で外出した私と、帰宅時に玄関ではち合わせた場面でもこのせりふ。献立どころか買い物すらまだというときに悪気はなくてもこれを言われるとせわしない、というかムッとする。

「お母さんもごはん作ってるだけとちがう、いろいろ忙しい」とつい口をついて出る。多くは語らない年頃のわが子との貴重なコミュニケーションなのに。

彼は大食いでも何でもなく、むしろ好き嫌いを言う方だ。「食べることに興味ないくせにごはんのこと気にするね」と問うと「だからやん、好きなおかずならテンション上がるしイマイチなら心の準備せな」。

だが嫌いなものを出されても残さないのが良いところで、苦手なものに着手してから好物をゆっくり味わうスタイルを徹底している。皿にしいたけが残っている夫が「嫌いなもんを先に片付けたら好物を食うとき、腹いっぱいでうまさが半減せんか」と感心するが、これはずっと変わらない。

高校生のとき「おかずがいらない弁当にして、例えばオムライスとかカレーとか」と言うので、その通りにカツ丼や炒飯など「だけ弁」を持たせた。しだいに手抜きが過ぎて、お好み焼きを二つ折りで入れたり「ホットケーキ3枚」の日は、さすがに友達に笑われたとすごく怒って「絶対やめて」と抗議された。

そんなことでもない限り声を荒らげたりしなかった彼が今春から寮生活。「今ごろ食堂のおばちゃんに今日の晩めし何?って言うてるんとちゃうか」と夫が笑う。

更家 美穂子 49 主婦 和歌山県串本町