朝晴れエッセー

家系図作り・5月26日

夫が地域の伝統行事の役をすることになりそれに係る古文書が入った箱をわが家で預かることになった。歴史好きの夫と一緒にその中に入っている古文書を見ていたら江戸末期のご先祖さまの名前を見つけた。それがきっかけになって、家系図を作ろうと思い立った。

私は夫を養子に迎えたいわゆる跡継ぎ娘である。今は家よりも個人が尊ばれる良い時代だが、昔は長男が大切にされ家が一番で、嫁の辛抱に支えられてきた歴史がある。私は子供の時から自然とお婿さんをもらってこの家に住むのだと思って育った。幸いにして好きな人がお婿さんに来てくれて3人の息子にも恵まれた。

市役所に行き、昔の戸籍を取り寄せて家系図作りが始まった。才助さん、久兵衛さん、イトさん…。そういえば以前父が「昔、久兵衛という働き者の先祖がいたらしい」と言っていたことを思い出した。その人たちを調べていくうちに、夫が若くして亡くなったためにひとり息子を置いて実家に戻った人や跡継ぎの孫を育てた祖父母、長兄が亡くなって家を継ぐために戻ってきた次男夫婦等々、時代とともに生きた運命と受け継がれてきたそれぞれの人生の日々を想像し、夫とともに私が今、ここにいることの奇跡に胸が熱くなった。

令和元年、私は夫とともに古文書講座に通い始めた。くずし字辞典を手にした私を「おばあちゃん」と5歳の孫が大きな声で呼んでいる。

永山 郁子 62 和歌山県紀の川市