新聞に喝!

令和と中国の深い関係 インド太平洋問題研究所理事長・簑原俊洋

混沌(こんとん)とするベネズエラ情勢や米中の通商対立、イランに対するアメリカの強硬姿勢など国際情勢はめまぐるしく動いている。だが、令和改元に関心が向いた日本メディアの海外報道はこの間、普段より扱いが格段に小さくなってしまったのは否めない。むろん、これは致し方ない部分があるが、それよりも新元号に関し、筆者が違和感を抱いたのは、古代中国の漢籍ではなく初めて国書に典拠するという点がかなり強調されて報道されたことである。

平成への改元の際、中国は日本への脅威としてまだ一般的に認識されていなかった。当時の日本はまだ余裕があった。新元号を国書から採用するこだわりはなく、漢籍を典拠とする伝統を継承したものの、当時のメディアも問題視しなかった。ところがこの度は経済規模で水をあけられ、海洋進出と「一帯一路」の名の下で勢力圏の拡大に邁進(まいしん)する中国に対する脅威認識のためか、多くのメディアは伝統からの逸脱には触れず、国書の典拠をことさら強調し、歓迎した。

しかしながら、令和の典拠となった万葉集が如実に示すのは、むしろ日本と大陸中国との相互交流の深さであろう。出典の「巻五 梅花の歌三十二首并(あわ)せて序」がうたう当時の梅の花見は中国伝来であるのは言うまでもない。そもそも元号という紀年法でさえ古代中国にルーツを辿(たど)る。