クイーンズランド大学の公式ニュースサイト(5月1日付)は、ホフマン教授のこんな発言を報じています。
「タンパク質の供給をこれからも継続的に維持できる最大の可能性は、昆虫と新種の植物にある。ウジ虫から作った市販のソーセージを食べられるか、さらに、他の昆虫の幼虫、そして、バッタのような昆虫そのものを食べられるかどうかだ。ちなみに私の生徒の1人は、とてもおいしい昆虫のアイスクリームを作った…」
また、ホフマン教授とクイーンズランド大学農業・食品イノベーション研究所(QAAFI)は共同で、日本では過去に「便所バエ」などと呼ばれていたアブの一種「アメリカミズアブ」の幼虫(ウジ虫)を、鶏肉の生産に役立てる研究を進めています。
「野生のニワトリは飼料ではなく、昆虫や幼虫を食べていた」(ホフマン教授)点に着目。ブロイラー用のニワトリのエサの15%に、このウジ虫を混ぜて与えたところ、胸肉の香りや風味、そしてジューシーさや柔らかさに何の変化もなかったそうです。
ホフマン教授は「世界的な大規模産業である家畜業界では、穀物に代わる持続可能で環境に優しいタンパク源を求める声が高まっている」(同大学の公式ニュースサイト)として、昆虫やその幼虫は、人間だけでなく、家畜のエサとしても大いに役立つとの考えを強調しました。
一方、意外な昆虫を薬として加工し、利益を生み出している例もあります。
昨年4月19日付の香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」の電子版などが報じているのですが、中国・四川省の南西部、西昌市には、年間60億匹のゴキブリを飼育する世界最大の「ゴキブリ牧場」があるそうです。何千年もの間、ゴキブリは中国で伝統的な漢方薬の成分で知られ、中国政府は20年以上に及ぶ実験室での研究と臨床実験で、薬としてのゴキブリの効用を認定しています。
そのため、中国には、医薬品のほか、家畜の飼料用のタンパク源として、ゴキブリを繁殖させる施設がありますが、ここは別格の規模の屋内飼育加工施設だそうで、AI(人工知能)が湿度や温度、ゴキブリが食べるエサの消費量など、全てを管理しています。
この「ゴキブリ牧場」、北京に本社がある医薬品会社が運営しており、飼育したゴキブリは粉砕され、最終的に液体の飲み薬になります。