ベネズエラ蜂起が不発に終わった舞台裏 政権交代へ道険しく

 【ニューヨーク=上塚真由】南米ベネズエラで独裁政権を敷くマドゥロ大統領の退陣に向けて野党陣営が4月30日に国軍に呼びかけた蜂起が不発に終わり、マドゥロ政権側が野党陣営への弾圧姿勢を強めている。野党支持者の間に無力感が広がり、治安部隊の統制で反政府デモは沈静化した。政権交代への道のりは険しくなっている。

 「われわれは平和的な対話を求めている。(野党陣営が)対話に応じないのは正気を失っているからだ」。マドゥロ氏は20日、昨年の大統領選から1周年を祝う首都カラカスでの集会で、野党側を非難。「クーデター計画は不可能だ」と述べるなど、権力掌握に自信をみせた。

 一方、「暫定大統領就任」を宣言したグアイド国会議長ら野党陣営は4月30日以降、打つ手を失った状態だ。現地の情報筋は「毎週のように開かれている反政府集会は規模が小さくなり、野党陣営は勢いを失っている」と話す。

 マドゥロ政権の支配下にある最高裁はこれまでに、蜂起を支持したとして、野党の14人の議員を反逆罪などで捜査するよう検察当局に指示。グアイド氏に近いサンブラノ国会副議長ら野党有力者が拘束され、政権側は反対派の粛清を進めている。

 表面上は盤石な独裁体制を築いたように見えるマドゥロ政権だが、蜂起の舞台裏に関しては、さまざまな情報や報道が流れた。

 ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は4月30日、マドゥロ氏の腹心であるパドリノ国防相とモレノ最高裁長官、エルナンデス国家警備隊長の3人がマドゥロ氏の追放計画に同意していたと発言。パドリノ氏は野党側との接触を認めつつも「(野党が)ばかげた申し出で、私を買収しようとした」とマドゥロ氏への忠誠を表明し、疑惑の釈明に追われた。

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