福岡県の小川洋知事と北九州市の北橋健治市長が21日、県庁で会談した。北九州空港の活性化や関門新ルート(下関北九州道路)の早期実現などで連携することで一致したが、知事選で争点の一つとなった子供の医療費助成については、県の補助率の拡大を求める北橋氏に対し、小川氏が難色を示し、平行線をたどった。
両氏の意見交換は平成29年12月以来で、小川氏が知事選で3選後は初めて。
会談では、北九州空港への新規路線の誘致や滑走路延伸などで、一層の連携を図ることを確認した。本年度、国による直轄調査が決まった関門新ルートについても、早期実現に協力していくとした。
一方、北橋氏は、子供の医療費助成をめぐり、政令指定都市と一般市町村との補助率の格差是正などを重ねて要望した。
小川氏は「政令市以外の他の県内市町村の多くが、財政的に困難を抱えている」として、格差に理解を求めた。北橋氏は会談後、記者団に「大変重いテーマだ。引き続きこれからの課題だと認識している」と述べた。
さらに、小川氏と県内2政令市長の関係には、温度差がある。北橋氏とは定期的に意見交換の場を設けているが、福岡市の高島宗一郎市長との会談の機会は乏しい。
県と福岡市は、ホテル・旅館の利用者に課す宿泊税をめぐって、互いに課税権を主張し、対立が続く。事務レベルの協議は続けているが、歩み寄りはなく、トップ会談は見通せていない。高島氏が知事選で、小川氏の対立候補を支援したことも、しこりとなっている。
高島氏は21日の記者会見で、小川氏との会談について「(宿泊税の)事務協議が整えば動きがあろうかと思う」と述べた。
小川氏は北橋氏との会談後、記者団に「どの市町村からでも定期的な会談をつくろうといわれれば、つくる用意はある。高島氏とも必要に応じ協議する」と話した。