江戸時代前期と大正時代の即位式の歴史を立体模型で学ぶ「奉祝記念特別展」が、柏市光ケ丘の麗澤大キャンパス内の廣池千九郎記念館で開かれている。天皇陛下のご即位を祝い、即位礼の意義を考えてもらうのが目的。同大にあるモラロジー研究所が、宮内庁や京都の祭礼衣装業者などの協力で企画した。
特別展では、記録が詳細に残る江戸前期の東山(ひがしやま)天皇(1675~1710年)の即位礼(貞享4年)を4分の1サイズの模型を使い、当時の様子を立体的に再現している。衣装や設備には中国の影響があるとみられるが、天皇が即位を宣言する「高御座(たかみくら)」は現在と同じ場所となる中央に設置されている。
会場の中央には、伝統回帰を重視した大正天皇の即位式が紹介され、即位礼の内容を定めた明治42年の「登極令(とうきょくれい)」に基づき、大正4年に京都御所で行われた式典で、製作された10分の1の模型を展示している。
御所南庭の左右に「左近の桜」と「右近の橘」、周囲には日本風の「纛旛(とうばん)」が立ち並び、紫宸殿の内部からは「高御座」と皇后の「御帳台(みちょうだい)」が見え、このときに用いられた「旛(ばん)」は高さ540センチ、幅90センチの実物大で再現した。
復古にとどまらないのが大正の即位式。江戸時代までの即位式の長所も生かされて、日本的な伝統美と調和しているとされる。伝統と近代文明を融合したこの式典は、昭和3年の昭和天皇の即位礼に引き継がれている。
また、衣装の紹介では天皇が用いる「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」などを展示。女性の衣装では平成2年の即位礼正殿の儀で、参列した海外の代表が、絵のように美しいと絶賛した「十二単(じゅうにひとえ)」が紹介されている。
「奉祝記念特別展」は6月9日まで。午前10時~午後4時。5月20、27日、6月1、2日は休館。問い合わせはモラロジー研究所(04・7173・3111)。(江田隆一)