上州この人

楽歩堂社長・渋谷則明さん(59) 個々の足にフィットする靴作り

 県の形をかたどる「さちの池」が有名な前橋公園(前橋市大手町)の名称が今年度から「楽歩堂前橋公園」に変わった。ネーミングライツ(命名権)を取得したのは、足の健康に配慮して作られた履き心地のいい「コンフォートシューズ」を製造・販売する楽歩堂(高崎市緑町)。社長の渋谷則明さん(59)に取得の狙いや靴への思いを聞いた。(椎名高志)

 トライアスロンが趣味で、平成3年に仲間と前橋トライアスロン協会を立ち上げた。その10年後には、出身地の高崎市から前橋市に転居した。

 「普段から前橋公園は環境が素晴らしい練習の場でもあり、思い入れが強かった。もちろん、会社のPRも考えた」と取得の動機を語る。

 もともとは高崎市で店舗を構えていた履物店の3代目。大学卒業後は父親の下でバイヤーとして働いていた。

 「ただ当時は人気ブランド品などを売っているだけの存在。プライドを持ってできる仕事ではなかった」

 そんな時に知ったのが、靴職人が医師と一緒になって治療用や、けが予防用など科学的に考えられた靴を個人のために作り出す-というドイツの靴文化。「技術でさまざまな要望に対応できるプロフェッショナルになることこそ靴屋のプライド」と気付き、37歳で楽歩堂を創業した。

 基本的な認識は、「人は足の形や歩き方が違う。通勤・通学やスポーツなどさまざまな場面で求められる靴選びも変わる」「だからこそ個々の体と足にフィットする靴を提供する必要がある」-だ。

 「そのための第一歩が、自分の足を正確に知るということ」と語る。全国22店舗に導入されているデジタル測定器をはじめ、社員による採寸、足の状態を見る触診などで足を分析。データを元に、足元の安定感を高めるための役割を担うインソール(中敷)製作を手作りで行う。

 個々の足にフィットし、使用用途にも合致した正しい靴選びも重要だ。「インソールと靴をマッチングさせることが一番のポイント」と話す。扱う製品はドイツなど欧米ブランドが6割、自社ブランドが4割。企画したラスト(靴型)は60種類を数える。

 「うちの靴は、生活の中で使ってもらってからが始まり。不具合があれば何度でも無料で直す。そうしたきめ細かいケアが強みでもある」

 楽歩堂前橋公園では月1回のペースで、ウオーキングやランニングに関連したイベントを開く。健康増進のサポートが目的で、「時にはノルディック・ウオーキングの講師も務める」と張り切る。

                   ◇

【プロフィル】しぶや・のりあき

 昭和35年、高崎市出身。60年、中央大商学部卒。家業の靴店でのバイヤーを経て、平成9年に楽歩堂を創業。25年から日本整形靴技術協会理事、昨年4月から前橋トライアスロン協会会長。

会員限定記事会員サービス詳細