著作権を管理する楽曲をBGMとして無断使用し、権利を侵害されたとして、日本音楽著作権協会(JASRAC)が13日、大阪市中央区のバーを経営する男性に使用差し止めや使用料計約6万2千円を求める訴訟を大阪地裁に起こした。BGM使用をめぐる提訴は近畿では初。JASRACは同日、甲府市の喫茶店や福岡市のバーなどに対しても同種の訴訟を起こした。平成29年7月の札幌、高松地裁への提訴に続く一斉提訴となる。
訴状によると、大阪市中央区のバーは25年8月の開店以降、店舗でBGMとしてCDプレーヤーなどで許諾を受けずに音楽を再生し、著作権を侵害していると主張。使用料として計約6万2千円が未払いと訴えている。
JASRACは文書を送付したり、職員が訪れたりするなどしてBGMの使用には許諾を得る必要があると説明したが、男性は応じなかったという。JASRACは27年、大阪簡裁で民事調停を申し立てて使用料の支払いを求めたが、不成立に終わったため、提訴に踏み切った。
提訴後に大阪市内で会見したJASRACの宇佐美和男・大阪支部長は「適法に利用している店との公平性からも看過できない」と話した。
BGMの使用をめぐっては、29年にJASRACが高松、札幌両地裁に同種訴訟を提起。高松地裁での訴訟は同年中に和解した一方、札幌地裁は30年、JASRACの主張を認め、理容店経営者の男性に使用料の支払いと楽曲の使用差し止めを命じた。