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『日韓戦争を自衛隊はどう戦うか』兵頭二十八著

『日韓戦争を自衛隊はどう戦うか』兵頭二十八著
『日韓戦争を自衛隊はどう戦うか』兵頭二十八著

 ■「3国同時事態」への対応策

 韓半島をめぐる安全保障環境が激変している。海上自衛隊のP1哨戒機に対する火器管制レーダー照射事件の顛末を見ても、北朝鮮の核ミサイルの脅威に対して日米韓で連携して対処するという同盟関係から韓国が離脱しつつあることは明らかである。それどころか、韓国軍と自衛隊が交戦する「日韓戦争」が近未来に起こると著者は予測する。

 日韓もし戦わば、当初は韓国のミサイル攻撃に日本はさらされる。不必要に射程の長い巡航ミサイル「玄武2C」を韓国はすでに手にしているからだ。しかし、韓国軍の華々しい戦果は、保有する弾頭を撃ち尽くした段階で終わる。戦況が不利となった韓国は北朝鮮の核を搭載したミサイルを撃つと脅してくるだろう。日韓戦争がやっかいなのは相手が韓国だけにとどまらないこと。北朝鮮、中国が介入する《3国同時事態》に発展する可能性が高いからだ。

 この儒教圏国家との戦争に自衛隊はどう対応すべきか? 本書の提案は、「いずも」型護衛艦の空母化などの派手な議論とは一線を画す。単発の固定翼武装機「ライトアタック」機を活用して陸上自衛隊を「軽空軍化」せよというものだ。その前提として、陸自が配備してきた戦闘ヘリコプターを俎上(そじょう)に載せる。冷戦時に「AH-1」対戦車ヘリは有効だったが、ポスト冷戦期の「AH-64」戦闘ヘリはなぜ失敗したのか。イスラエルの戦訓を中心に戦闘ヘリ運用の歴史を考察する。

 その精緻な分析を読めば、陸自の「軽空軍化」も納得されることだろう。(徳間書店・1700円+税)

 徳間書店 力石幸一

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