若手跡継ぎの挑戦支援 兵庫

 後継者不足などで企業の事業承継が課題となるなか、先代から受け継ぐ経営資源をもとに若手後継者が新規事業や業態転換に挑戦する「ベンチャー型事業承継」が注目を集めている。昨年6月、この取り組みを後押しする一般社団法人「ベンチャー型事業承継」(東京)が発足し、34歳未満の若手後継者に限定した新規事業開発のための会員制オンラインサロン「アトツギU34」がスタート。兵庫建明石市でも活動が動き出し、会員らが情報交換やミーティングなどを通じて先代とは違う後継者像を模索している。(香西広豊)

 3月13日夜。JR明石駅近くのオフィスビルの一室に、明石市を中心に活動するアトツギU34の会員が集まった。月に一度のオフラインミーティングで、父親が社長を務めるホテル運営会社の役員をしながら、新規事業を立ち上げた若手経営者をゲストに迎えて意見交換などを行った。

 現在、アトツギU34の会員は約100人で、このうち明石の会員グループは13人。ゲスト招へいなどの準備は金楠水産(同市)の樟陽介さん(33)が行った。アトツギU34には、こうした地域ごとのグループが全国にいくつかあるが、運営は基本的に会員だけで行わなければならない。

 新規事業立ち上げにおける体験談やビジネス論を聞いた後、活発に意見交換して約2時間のミーティングは終了した。樟さんは「跡継ぎとして何をやればいいか一人で悩みがちになる。こうしてアイデアを出し合えるのは有意義だ」と話す。

 今回の明石のようなミーティングはある程度の人数が集まらないとできないため、東京や大阪での開催が中心になる。同法人代表理事の山野千枝さんは「地域でまとまった人数に会員になってもらうことが当面の課題」と指摘する。

 とはいえ、会員には「34歳以下の跡継ぎ」という条件のほか、「新規事業開発に意欲的であること」などをしっかりと確認し、コンサルタントや営業目的の人は徹底的に排除する。「同じ境遇の同じ目的の仲間がいる純度の高い環境が、会員にとって最も価値がある」と考えているからだ。

 法人から会員への支援としては、協賛企業の野村証券の協力を得て、同社店舗の会議室の無償提供のほか、行政や大企業が主催する跡継ぎ対象イベントへの参加も行っており、会員の新規事業開発に向けた挑戦の場をつくることに注力しているという。

 山野さんは「会員はきわめて高い確率で経営者になっていく存在。彼らをベンチャーの卵として支援することには大きな価値がある」と話している。

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