いじめ対策法改正が暗礁に 超党派議員の試案に被害者ら反発「大人の都合より子供の命を」

「全て見抜く」困難

 懲戒規定などの義務規定が盛り込まれなかったのは、勉強会による学校関係者へのヒアリングで、「現場の負担が増す」「萎縮を招く」などの反対意見が多く寄せられたためだ。

 大津市の中学2年生が平成23年にいじめで自殺した事件の遺族が先月、勉強会座長の馳元文科相に削除された条文の復活を求めた際、「(条文の義務規定などに反した)教職員は即違法となる。現在の学校現場には、それに耐えうるだけの教職員のスキルが伴っていない」との返答があったという。

 教員や教員経験者でつくる全国組織の幹部は、現行の地方公務員法でも職務専念義務に違反すれば罰することは可能と指摘。その上で「全てのいじめの存在を見抜くことは現実として難しい。現場で対応しきれないことまで法律で細かく定め、それができないと『懲戒』というのはどうなのか」と話す。

 勉強会メンバーの与党議員によれば、背景には予算や人員不足の問題もあるといい、「(義務規定などを残すには)実効性を担保するため、予算措置とセットにしなければならない」と難しさを指摘する。

「原点に返って」

 一方、いじめで自殺した子供の遺族や不登校の被害者家族などからは、「誰を守るための法律なのか」との声が上がる。

 座長試案では懲戒規定のほか、昨年11月の素案にはあった「いじめ対策主任」の設置義務などが削除され、「いじめを受けた児童らを徹底して守り通す責務」との文言も削られた。

 これに対し、青森市で28年に中学2年の娘を亡くした男性は、「(素案の内容が以前から)実行されていたなら私の娘は死なずに済んだ」とした上で、「素案の条文を削除せずに法改正してほしい」と話す。