小野薬品、ノーベル賞受賞の本庶氏に対し月内に「コメント」 特許契約めぐり

 2018年のノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑京都大特別教授の研究をもとに小野薬品工業が開発したがん免疫治療薬「オプジーボ」をめぐり、本庶氏が特許契約に納得できない点があると主張しているのに対し、小野薬品は9日、今月中にコメントを表明する考えを示した。本庶氏に支払う対価の上乗せに関する交渉の経緯などについて触れる見通し。同社が同日発表した平成31年3月期連結決算によると、支払いなどに備えて積み立てている引当金は約172億円に上った。

 同日、大阪市内で決算会見を行った小野薬品は「本庶氏の主張に対するコメントを今月中に行う予定」と明らかにした。

 本庶氏は特許契約を結んだ同社から支払われた約26億円を、納得できない点があるとして受け取っておらず、全額法務局に供託。「若手研究者の育成のためにも、オプジーボの売り上げで得られる(特許料の)対価引き上げを求め、小野薬品と協議したい」と主張している。

 一方、小野薬品はこれまでも本庶氏に支払う対価の上乗せに関する交渉を進めていることを明らかにしていた。支払いなどに備えて26年から引当金を積み立てており、本庶氏側と合意できれば、その一部から支払う考え。

 同社の31年3月期連結決算は売上高が前期比10・2%増の2886億円、最終利益は2・5%増の515億円となった。オプジーボは昨年度に胃がんなどへ使用拡大されたが薬価制度の抜本改革の影響を受けて売上高は0・5%と微増の906億円だった。

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