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「特定技能」外国人は原発作業の即戦力か 東電の受け入れ方針に波紋

 東京電力ホールディングス(HD)が、4月から創設された新在留資格「特定技能」の外国人を福島第1原子力発電所(福島県)での作業に受け入れる可能性を示し、波紋を呼んでいる。「原発の廃炉作業は人手不足の解消という新制度の趣旨になじむのか」との観点から、担当省庁間の受け止めには温度差がある。特殊業務への対応という盲点が浮き彫りになった形だ。(今村義丈)

省庁間で温度差

 発端は、新制度が導入される直前の3月末、東電が協力会社を集めて開いた会議の中で、福島第1原発の作業員として特定技能の外国人を受け入れることは「可能」との認識を示したことだった。

 東電の担当者は「『雇ってほしい』ではなく、(協力会社が)雇用を希望する場合は『法律の趣旨にのっとって対応してほしい』と伝えた」と説明。作業員は、特定技能の受け入れ14業種のうち主に「建設」分野に該当すると東電はみており、最終的には申請を受けた国が可否を判断することになる。

 これに対し、関係各省の反応は微妙に分かれた。

 新制度と同じ4月に発足した出入国在留管理庁の関係者は、「新制度は原発敷地内だから不可というわけではないが、廃炉作業を行えるかは疑問だ」と懐疑的。山下貴司法相も「除染作業は対象外となる」とくぎを刺した。

 「現段階で廃炉作業も含めてOKとは言えない」と慎重な姿勢を示したのは建設分野の受け入れを審査する国土交通省の担当者。労働基準監督署を通じて原発作業員の健康管理を指導する厚生労働省の担当者は、「今後検討が必要」と述べた。

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