その他の写真を見る (1/5枚)
「令和」の新時代を迎え、昔のバッグの価値が見直されている。イタリアの高級ブランド「グッチ」。創業家がデザインしていた1980年代以前の製品が「オールドグッチ」として区別され、人気を集めている。都内の専門店には全国や海外からお宝を求めて客が集まる。魅力はデザインの多彩さと現代ファッションにも通用する洗練されたスポーティーさ。ノンフィクション小説の傑作「ザ・ハウス・オブ・グッチ」にも描かれたスリリングで華麗な一族の物語性も、バッグにオーラをまとわせている。(重松明子、写真も)
オールドグッチを象徴する緑×赤、青×赤の「シェリーライン」。復刻品も続々出ているが、往年の品を見てみたい。
JR中央線高円寺駅から歩いて5、6分。店の呼び出し鈴を押した。オールドグッチ専門店「ロココ」の来店は予約制だ。しかし、筆者の前には20代とみえる女性の先客が。2つのバッグを交互に肩にかけながら、「どっちがえぇんやろ」と鏡の前で悩み続けていた。
大阪から来店したという彼女は、「去年ごろから私の回りでもオールドグッチをネットや古着屋で探す人が増えています。友達とかぶらない一点物を探しにここまで来ました」。
5坪弱の小さな店内。50年代の貴重なトカゲ革のハンドバッグ、70年代のショルダーやボストン、80年代に日本総代理店だった銀座「サンモトヤマ」が昭和女子たちの憧れに火を付けて爆発的にヒットしたバッグ類「アクセサリーコレクション」など、200~300点が並ぶ。丁寧に説明してくれる接客に好感を持ち、後日取材を申し込んだ。